iPX社員によるブログ

iPX社員が"社の動向"から"自身の知見や趣味"、"セミナーなどのおすすめ情報"に至るまで幅広い話題を投下していくブログ。社の雰囲気を感じ取っていただけたら幸いです。

昔やったタイル張り

春になりまして

春になりまして、花粉症が厳しくなってまいりました。
慣れない業務で毎日頭真っ白なカノマタでございます。
寒暖の幅が広くなってきたことで、皆様、体調にはお気を付けくださいませ。

洗濯物を外に乾すのが厳しく、本気でドラム式洗濯機を買おうか悩むこの頃です。
15万円ぐらいするので、店に行くと腰が引けるのが私クオリティです。

タイル張り

個人的には、簡単に真似ることができないことを技術というと思っております。
絵 (これは萌絵すら含む)、 音楽、デザインは贋作であろうとも技術の最たるものと確信しています。
もし、私が大金持ちであるなら、昔欧米の貴族がしていたように、彼らのうちで自分が気に入ったものを作れる人を囲いたいと思うのです。
これが失われた現代、文化のレベルはより一層低くなると思っております。

画像に興味のある私ですが、幾何学模様は惹かれるものがあります。
その基礎がタイル張り図形です。
昔、マウリッツ・エッシャーという奇人がいまして、対称性というものを取り込んだ絵を描いていました。
http://www.hikari-es.yamaguchi-u.ac.jp/kyokato/sansuka/shikitume/data/uma.gif

なぜこれが数学の方に行ったのかはわかりませんが、数字なんてほとんど出てこない数学に発展しました。
群論」という、数学の本当に根っこの部分がこれにつながっています。
これまで数が前提であった数学は、19世紀に構造が見直されました。
この根元が「群」「環」「体」というものです。

タイル張りのうち、1つの形のタイルで埋め尽くされていることを前提に、ある方向へ移動すると元に戻る (並進対称性) があり、かつ、ある点で回転すると元に戻る (回転対称性)、、ある線で鏡写しにして元に戻る (鏡映対称性)、ある線で鏡写しにしてこの線で並進すると元に戻る (映進対称性)、があってもなくてもいいを満たすタイル張り図形を、isohedral tiling (アイソヘドラルタイリング) と言います。
これが2次元平面であるときには、17通りの対称性しかありませんが、これがなかなか不思議です。
3次元ですと色の塗り替えという対称性があり、200数十の対称性が存在するそうです。


対称性の論議はさておき、下の図の点で120°ずつ回転しても元の平面に戻る性質があります。これを3回割りの回転対称があるといいます。
また、直近の2点間で平行移動しても形が元と重なります。
この対称性をP3といいます。
f:id:ipx-writer:20160315075332j:plain

もっと複雑な回転対称では4回割 (90°回転対称) 、6回割 (60°回転対称) があります。
並進対称性をもつという条件下では、回転対称性の角度はこの3つ以外はありません。
これはP4で4回割りの回転対称性をもっています。
f:id:ipx-writer:20160315075744j:plain

これはP6です。同じ形でもはめ込み方が違っています。
f:id:ipx-writer:20160315075844j:plain

過去に大学でこんな研究をやって、2000個以上のパターンを探索していました。
結構面白く、最初は手で書きながら性質を探り、数学的性質を証明して、コンピュータで探索するというやり方をしていました。
今日改めて卒業論文を見直してみると、昔はよくこんな変なことをやっていたなと感心します。
私の先生と「さて、何に使えるか?」と考えたところ、「ネクタイの柄」以外の答えが出なかったのを覚えています。
こういうのは得てして、300年後とか400年後とかにもっと科学が発展したとき人類の役に立つもので、それでいいんだという結論に至りました。

奇人変人が考えたもっとわけのわからないものが可能性が高いですので、この程度のものでは埋もれてなくなるのが落ちですが...。