iPX社員によるブログ

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「人」を動かすには

久しぶりの投稿となります寺田です。
前回はテーマがフリーという事もあり、自分の1日の生活スタイルと一般的なIT企業のイメージとの差を題材に
記事を書かせていただきました。

今後は仕事におけるノウハウというテーマで記事を書いていけたらと考えています。

それでは今回は現場における「人」というリソースを動かす方法について書く事にします。

私はこの業界に入って現在11年目となるのですが、その中でいろんなタイプの「人」に出会いました。
まずはその「人」のタイプを私なりに①~⑤のグループに分け、以下に羅列します。

「人」のタイプ

①なんでもやりますよタイプ
 ・周りの作業を気にかけ、自分で判断して行動できる。
 ・指示に対しての妥当性を考えて、疑問点/不明点を残さず作業する事ができる。
 ・与えられたタスクはきっちりこなす。
 ・与えられたタスク以外の作業も嫌がらずに進める。

②これだけやりますタイプ
 ・基本的に与えられたタスク以外はやらない。
 ・指示に対しての妥当性を考えて、疑問点/不明点を残さず作業する事ができる。
 ・与えられたタスクはきっちりこなす。
 
③やりました!できました!タイプ
 ・報告が「やりました!できました!」のみ。
 ・蓋を開けるとできていない事が見つかったり…。
 ・作業中に発生した疑問点/不明点をそのままにする。(故にできてない)

④はい!わかりました!タイプ
 ・指示時、質問はなし。
 ・作業中も質問はなし。
 ・悩んでいるなぁと思うとさっき説明したところだったり…。
 ・悩む一方で作業が止まる。
 ・③へ変貌を遂げることもある。

⑤うーんタイプ
 ・ちょっと複雑になると指示通りの作業もまともにできない。
 ・指示の説明中のメモは取らない。取っていても何が書いてあるのかさっぱり…なメモ。
 ・たまに③のタイプへ変貌を遂げる。(できてないのにできたと言う)


…こう見てみると、いろんな人がいますね。
皆①タイプなら平和なんですけどね…ボソボソ


さて、①~⑤までの人をもし自分が指示を出して動かす側にいたとして、
どうやったらこの人達は快く動いてくれるのか考えてみましょう。

指示の出し方

①の人はただその人に割り振ったタスクに対する指示をざっくりと要点だけ伝えれば、
あとは何とかしてくれそうなので、問題なしです。

「○○のXXを△△してください。お願いします。」

と言えば任務完了です。


問題は②~⑤です。

さて、②~⑤の人を動かすにはどうしたら良いのか考えていきましょう。

②これだけやりますタイプの人を動かすには?

[特徴からの分析]
このタイプは自分の作業範囲を割り切っているため、作業範囲外の作業を嫌がる傾向があります。
チームで会話していても関係のない部分は聞いていない事の方が多いです。

[実例]
現在の現場でこの②のタイプの人をどう動かすか、これがキーとなっていました。

当初この方には契約上、「プログラム修正」をお願いする形でしたが、業務の都合上
「プログラム修正」以外が発生し、そのタスクを割り当てる必要が出てきたため、
それを許容してもらい、タスクを割り当て、実施してもらう事にしました。

その際、私の取った初期の行動は

①の人と同じように指示を出し、時々「できました?」と言って進捗具合を計る

でした。

結果は惨敗。この時はこの方の特性を理解していない状態であったため、
②タイプと判断できず、やってもらった作業について確認したところ、漏れが目立っていました。

その漏れが発生する度に

「ここが漏れているので直してください。」

という指示を出したのですが、どうも腑に落ちていない様子…
プラスして「○○だから××してもしょうがないと思うんですけど」のような不満もある様子。
で作業が進まない。

それを見て私は、
この人にとって修正以外は契約外の作業であって、自分の「やるべき事」でないんだな…
と判断し、

「○○さんは修正の方がいいですよね?」

と声をかけ、その方のタスクを自分に振り、その方が修正に徹する事ができる環境を作る事にしました。
すると、それまでの様子から変化があり、多少なりとも自発的に動いてくれるようになりました。

[考察]
このケースの場合、「人」が足らず、ピリピリしていたためやむ負えない状況ではあったのですが、
他に対処方法はなかったのかと考えると、「漏れについての指摘」の言い方を変えていたら、
状況は変わっていたかも?(冷静になるって大事ですね

例えば

「修正以外の作業で申し訳ありません。やって頂いてありがとうございます。」
「確認したところ、○○が足らなかったようなので、申し訳ありませんが追加をお願いできますか?」

のようなやわらかな言い回しです。

この言い方の場合「ありがとう」という言葉が大事です。
「ありがとう」と聞いて嫌な気分になる人なんていません。この一言があるだけで相手が受け取る印象が大きく変わります。

[結論]
・②タイプの人へは、極力作業範囲外の作業を振らない。
・もしやむ負えずに作業を振る場合は
「あなたの作業ではなく申し訳ありません。やってもらえてありがたいです。」
 という気持ちを含めた言い回しが効果的。

③やりました!できました!タイプの人を動かすには?

[特徴からの分析]
このタイプには細かな指示を最初から与える必要があります。
「出来た」という報告が自分のものさしレベルであり、理解した範囲での作業を淡々とこなす傾向があります。
最初が肝心で、その後も都度様子を確認する必要があります。

[実例]
ケースA:自分のタスクを分散するため、作業ルールを最低限伝えた上で、以下のように指示をしました。

○○をこのようなルールで作成してください。終わったら教えてください。

その時は自分の作業に没頭し、完了報告が来るまで待っていました。
「できました」という報告を受け、中身を確認すると…明らかにおかしい…
ここで私は(なんでこんな事も分かっていないのか…そもそも分からなければ聞いてくるはずなのになぁ…)と
思い、間違っている部分の指摘をした後で、

「分からなければ聞くべきですよね?」

と強めに伝えました。すると…
分からないから今聞いてるんじゃないですか?
と返され、険悪なムードに…

ケースB:何としても人海戦術で乗りきる必要があり、短期集中で数人を投入。
     単調な作業を割り振り、作業方針を説明後に以下のように指示しました。

○○を作成してください。分からない事があったら都度聞いてください。

初日というのは疑問点しかないに等しいので、少なくとも1つくらいは質問があるはずですが、これが定時過ぎてもない。
ちらちら横を除いて状況を確認すると、もくもくと作業をしているように見える。
(この時点ではまだ様子を見る事にしました。)

2日目の早い時間に「できました」との報告を受け、確認すると作業方針通りになっていない…
すぐに状況を伝え、

これはこの作業方針に沿ってないですよね?作業を確実にこなしてもらってもいいですか?

と指示をすると、
「はい、わかりました。」との返事。その後もくもくと作業するも、他の部分がまた作業方針通りになっていない…

[考察]
ケースAの方は、指摘の言い方に対して噛みついている形になっているため、
この言い回しを変える事で改善ができていたかも。
例えば、

「あ、このルールってまだ説明していませんでしたっけ?もしそうだったらすみません。分からなかったら聞いてくださいね。」

と、こちらが説明不足であると提示した上で、やんわり伝えていれば穏便に済んでいたでしょう。

ケースBの方は、こちらの指示・指摘を鵜呑みにして行動するため、言い回しの問題ではなさそうです。
これは作業方針の説明時および1回目の「できました」報告時に「確実に、正確に」というワードを
強めに伝える必要があったのではないかと考えます。
例えば、

今回の作業は正確にお願いします。もし分からない事があったらすぐにエスカレーションして下さい。
不明点を残したまま進めるのは厳禁です。宜しくお願いします。

等の指示をしていれば、質問を促せたのではないかと考えます。

[結論]
・③のタイプの人への指示は「丁寧」に。
・1回の指示で把握していると思わず、再度同じ内容を聞かれても快く返す。
・「出来ました」の際にその判断基準を聞き、間違っていたらそれを一度受け止めた上で、
 再度正しい指示をする。

④はい!わかりました!タイプの人を動かすには?

[特徴からの分析]
このタイプはとにかく自分は理解しているという事をアピールする癖があります。
放置プレイをすると固まって動かなくなります。
しかし、納期が近づいていても自分から動く事はありません。
故に常時気にして声をかける必要があります。

[実例]
あるプロジェクトに参画時、DBの移行作業をするため人が投入され、
その方が1人で移行計画を立てて移行用のプログラムを作成する担当となりました。

当初はリーダーからの指示を「わかりました!」とはきはき回答し、
進捗会議時も「○○のプログラム作成が完了しました。」と報告していたため、
お、順調なのかな?と思っていたのですが…

1か月後、蓋を開けてみれば1本も終わっていない。そして作業内容の説明を求めると黙る。
つまりは自分のやっている事が説明できない状態。

その際のリーダーは「どうするんだ?どうする気なんだ?」と問い詰め、結果的に
その方を追い詰めてしまい、その方は2カ月後に強制退場。(仕方ないんですけどね
他メンバーで穴埋めをする事に。

[考察]
そもそもこのタイプかどうかを判断するのは難しい事ですが、
日々の業務態度と進捗状況がマッチしているかを観察しておく事で早期に察知する事は可能ではないかと考えます。

このタイプには言い回しがどうであれ、複雑な指示やキャパオーバーのタスクが
振られている以上、上手くいかない事は明確です。
この人をうまく動かすには、「タスクのレベルを落とす、割り振るタスクを減らす」が重要であると考えます。

[結論]
・④のタイプの人かどうかの判断は早期に。
・割り振ったタスクの見直し、作業の単純化を検討する。
・タスク量を軽減し、負担を軽くする。

⑤うーんタイプの人を動かすには?

[特徴からの分析]
このタイプは流れ作業かつ単純作業でないと、進捗が期待できません。
報告というものが一切なく、質問もない。
④と同様に自分からは動きません。
難しい内容については「うーん」と頭を悩ませて終わります。
聞いてくれればいいのに…
コミュニケーション能力の低い人がこの傾向にあります。
ただ、進捗報告では「できました」と報告をしている…

[実例]
あるプロジェクトにおいて、私の参入する5カ月前に参画して作業を行っている方がいました。
この方、不明点等がないようで黙々と作業を続け、進捗も滞りなくあげられていました。
WBS上は…)
しかし、私がその方の作業分を確認しみると…「ん?え、エラー!!?」
まさかの動作せず確認ができない状態である事が判明。
WBS上でタスク完了となっている全ての作業の確認エビデンスを念のため確認すると、
あれもこれもおかしい。
さすがに全てにおいてNGが出ると思っていなかったため、これを即座にエスカレーションし、
その方に直接以下のように伝えました。

作業が完了となっていますが、何を持って完了としていますか?
そもそも今動作確認しようとするとエラーが出ますが、ローカルでも同じエラーが出ないか確認されてますか?

この返答は「はい」のみ

それではどう確認したか実際にやってもらえますか?

と促すと、何かを悩みながら、ずっと手が止まっている…

確認したんですよね?そのやり方を実演してもらえればいいんですけど?

と言っても無言かつ固まる。

埒が明かないので確認方法を教えて、再度確認を促す形を取り、
出来た段階で報告してもらう事に。
それ以降の作業はリスクを考え、この方のタスクは一時停止。
これ以上の遅れが出るのはまずいとの事で、この方の作業を他の人でカバーする事で事なきを得る。

[考察]
恐らく、良く分からずに作業を進め、何を確認すべきか良く分からずに確認し、
その作業が完了した事で「できた」というステータスにしていると思われます。
質問・疑問が自分の中で発生した場合、自分なりの解釈すらままならない状態で、
それをそのままにする傾向があるため、まずは作業指示をする際にどこまでの理解度かを確認する事で、
このタイプかどうか判断する事が重要だと考えます。

このタイプが一番厄介なのは「突き進む」ところであり、手戻りが発生するリスクがあるため、
「手戻りを最小限に抑えられるタスク」を割り振る事が良いと考えられます。

[結論]
・最もリスクの軽度なタスク、または単純な作業を割り当てる。
 (片手間でリカバリすればなんとかなるレベルが理想)
・作業については逐一報告をするように伝えておく。

質問が浮かんだらすぐに言ってください。くれぐれも自分で判断して行動しないでくださいね。これだけは守ってください。

と言っておけば、素直ゆえに「これだけ」は最低限守ってもらえる。

まとめ

人を動かす際、共通して言える事は「まずはこちらが冷静になる」という事です。
出来ないから、やってないからと言って、イライラしているとそれが相手に伝わります。
結果的に反発心を煽る形になり、良好な関係性のままの作業が困難になります。

常に冷静である必要はありませんが、一度落ち着く事で上記のような②~⑤のタイプに対する
適切な対応を取る事が可能になるのではないでしょうか?
冷静になればプロジェクトの状況把握、人の特性の分析がより正確に行う事ができ、
適切な指示によってどんなタイプの人でも操作が可能になるのではないでしょうか?

言い回しも重要です。言い方次第で「人」は受ける印象が違い、
同じ内容でもそれを受け取った側の行動が変わります。
快く動いてもらえるように適切な言葉を選んで指示を出す事ができると、
プロジェクト全体が良い方向に向くのではないでしょうか?

これらを常に意識する事で、「人」を動かす事がそれほど困難ではなくなるように思います。

あくまで私自身の体験談を振り返り、今思う事を書き連ねてみましたが、
やはり人間とは複雑な生き物ですね(汗)