モデルベース開発(MBD)に必要な素養は?
EPLUの加藤です。
今回もモデルベース開発(MBD)についての話題です。
先日、とあるお客様と興味深い会話があったので、簡単に紹介したいと思います。
MBDに学歴は必要か?
お客様と打ち合わせを済ませ、雑談をしていた時のことです。
お客様『MBDはやっていることが単純だから、学歴や専門知識はそれほど必要ないんじゃない?高卒でもやれるのでは?』
ここでいうMBDは、1Dシミュレーションのことを指しています。
それに対して、私の意見は異なっていたので、理由を説明しました。
わたし『確かにMBDで表現していることは単純なのですが、単純であるが故に難しいと思います。
現実で起きている現象をモデルとして単純化する、という事は「抽象化」の思考が出来る必要があります。
ものごとを抽象化して考えるためには、ある程度の論理的な思考を訓練した人の方が向いています。
ですから、学歴というか、それなりに頭の訓練が出来ている人、となるとそれなりの学歴を持った人になるのではないでしょうか』
というお話しをしました。
単純に1Dシミュレーションのツールを使いこなすだけであれば、たいして難しくはありません。
しかし、そのシミュレーションの世界の中で何が起こっているのか?をきちんと想像できなければ、モデリングすることもシミュレーションの結果を考察することも出来ないと考えます。
画面に見えている、四角い箱や、数式。
これを見て現象をイメージできる人は、MBDをしっかり使いこなせる人、だと思います。
「メカ屋さん」がMBDに取り組むには思考の切り替え、訓練が必要
これが、いわゆる「メカ屋さん」がなかなかMBDを取り込めない理由の一つだと感じています。
これまで3D CADで設計して、メカ部品を主に製造しているサプライヤーの方々は、目に見えるカタチをベースにして思考しているため、抽象的なものを扱うことに慣れていません。
メカ設計者をMBD設計者に育てたい、というニーズはかなり多いと思います。
ただ単に1Dシミュレーションのツールを導入してもMBDは立ち上がりません。
その理由は上述の通りです。
マネジメント側から「早くMBDをものにしろ!」とプレッシャーをかけられて、必死にツールの操作を覚えても、成果は得られないでしょう。
- メンバーの選定
- 能力の開発
- ツールの習熟
これらをしっかり考えて取り組むべきだと考えます。
結論:学歴が基準ではないが、抽象的な思考が出来る素養は必要
私達も自社内でMBDのノウハウを共有する取り組みを行っています。
当社内でも同様で、「モデルが表現する世界」を思考できる人と出来ない人がいます。
良い悪い、という話ではありませんが、やはり適性はあるのだと感じています。
告知:MBDセミナー 5/17(水)@名古屋
昨年12月に、日刊工業新聞社の主催で、東京でセミナーを開催しました。
このたび再びお話しを頂き、今度は名古屋で開催する運びとなりました。
お申し込みは以下の日刊工業新聞社のページにアクセスしてください。
シミュレーションだけではない、モデルベース開発(MBD)推進のヒント | セミナー | 日刊工業新聞社
前回は半日コースでしたが、今回は一日コースとなりました。
「MBD=1Dシミュレーション」という考え方が一般的ですが、このセミナーでは「本来のモデルの使い方」について紹介する予定です。
ご興味のある方は是非ご参加ください。