iPX社員によるブログ

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単位の話

基準の話

こんにちは、Chibaです。 今回は単位―長さや重さを計量する基準―のお話をします。

価値基準としての単位

おそろしく広く言えば「実体」を扱う業界であるものづくりの世界において、単位は最も身近にして絶対的な価値基準といえます。
「世界最薄!」や「最軽量!」といった宣伝文句を耳にすることもよくありますね。
0.1mm,0.1gの世界で切磋琢磨しているわけで、そこに存在する競争の熾烈さは時に想像を超えたものがあります。

わりといろいろある単位

ところで、同じ長さや重さを計測するのでも、その製品によって単位の使い分けがなされる場合があります。 普段私たちがよく目にするのは「m」や「kg」ですが、 例えばこのブログを見ている液晶画面のサイズは「in(インチ)」で表現されることが普通です。

inchはいわゆる「ヤードポンド法(主に英米で使われる長さ重さの単位)」で、現在では「1in = 25.4mm」 と正確に定められています。 例えば液晶サイズが「5in」ならば、それは液晶の長方形の長辺の対角線の長さが5inであることを指します。 その他にも自動車・自転車のホイールや鉄道のレールの軌間などin(表記としてはmmですが)を使うものはけっこうたくさんありますね。

なぜ単位がmやkgではないのかと言われれば、それら製品が発明された場所や大きく発展を遂げた場所が英米であり、そこで最もポピュラーな単位に準拠したというだけの話です。 ただそれは歴史の話に過ぎず、たいていの製品が世界的な展開を見せることを前提に作られる昨今においては勘違いを生む大きなデメリットとなっているのも事実です。 結果として単位はどんどん一本化されていく……はずだったのですが、自動車がこの世に出て120年、鉄道にいたっては220年、いまだにinchは通用しています。 日本においても法律によって明示的に製品に使う単位は限定されていますが、今でも「坪単価」みたいな言葉が普通に使われています。

消えゆく単位

その国や地域でしか通用しない単位、というものにはそれぞれ矜持とでもいうべき背景があります。 が、実務的には勘違いを生む原因でしかないというのも事実で、明確なデメリットがある以上これからもゆるやかに単位は統一されていくでしょう。 私個人としては、別の単位を統一単位に変更したとき特有のいびつな数字にノスタルジーを感じる程度に、今後もゆるく消えゆく単位を観測していきたい所存です。