iPX社員によるブログ

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過去についての最近の傾向

大変ご無沙汰しております。Chibaです。
今回は自分の趣味……とまでは言えませんが、なんとなく昔から追っかけているものを少し語ろうと思います。

静かなブーム…?

ふらりと書店に立ち寄って新刊を眺める……というのはずっと昔からほぼ無意識にやっているのですが、
その中でここ数年気になっているものがあります。
どうもここ最近、日本史の本(特に新書や雑誌ムックの類)が気持ち程度に推されていることが多いような気がするのです。
さっき書いた「私がなんとなく昔から追っかけているもの」がつまり日本史なのですが、そんな私の贔屓目を差っ引いてもやっぱり多い。

傾向

これら最近出た日本史の本には一定の傾向があります(すべてのものに言えることではありませんが)。
ひとつは、公的な専門家・研究者の方が著者であること。
もう一つは(これは私の興味関心がそっちに向きやすいということもあるのですが)、
今まであまり顧みられなかった、平たく言えばあんまり人気のない出来事がとりあげられていること。
で、肝心の内容を見てみると、非常に真摯にその物事について扱っているものが多いです。
日本史の本というとやれ陰謀論だ黒幕だと「社会の裏側」の存在を煽るような内容のものが満ち溢れていたのですが、
そういった安直な巷説をやんわり否定しつつ、当時の人物たちがなぜそうしたかを丁寧に描いている。
そこには著者なりの大胆な省略が無数に存在するのでしょうが、それにしても丁寧で飾り気ない表現が目立ちます。

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ブームの火付け役、「応仁の乱」。この複雑でグダグダな出来事を正面から書いた力作

陰謀論はどだいムリ

なんでそんな真面目な本が流行っているんだ?という疑問がそこで湧くのですが、これについての正解はわかりません。
ただ、個人的には「陰謀」とか「黒幕」とかそういったものがあまりにも溢れすぎた反動みたいなものがあるのかな、という気はしています。
情報の氾濫が叫ばれて久しい現代社会、何が正しいのか間違っているのか、私たちはその判断を常日頃から無数に強制されています。
そういったときにソースのない安直な陰謀論みたいなものが少しでも拡散されてしまうと、正誤の判断に膨大なノイズが載ってしまいます。
冷静に考えればすべての事象を把握して動いているかのような黒幕や陰謀があるとは考えにくいのですが、
しかしそういった物事の単純化はいつの時代も衆目を集めます。
そんななか、陰謀論を否定しつつ、豊富な資料と知見を以って当時何があったかを真摯に追及するという行為は、非常に清廉で魅力的に見えます。
浮ついた空論をまっすぐ突き刺す正論、こんなにかっこいいものはない(それが本当かどうかはわかりませんが)。

痛快か、といわれるとそうでもないけど

というわけで、日本史の静かなブームはそういった陰謀論へのカウンターみたいなものが含まれる気がしています。
日本史に対する今までの認識がひっくり返されること請け合いなので、皆さんにも純粋に気軽にページを繰ってもらいたいです。