植物たちの生存戦略
ご挨拶
初めまして。今回ブログ担当のおしぶです。
じわじわと気温の上がる今日この頃。沢にでも行きたい気分です。
今はiPXで働く私ですが、以前は植物に関わる仕事をしていました。
なので今回はフサザクラとブナの生き方について紹介しようと思います。
フサザクラとブナ
フサザクラ、と唐突に言っても伝わる人は少ないんじゃないかなあと思いますが、フサザクラは沢沿いに生育する小高木です。
名前にはサクラとありますが、サクラの仲間ではありません。
花はこんな感じで、線香花火の束みたいな房状の花を春先のまだ寒いころに咲かせます。
ちなみに私は結構この花が好きです。
さて、実は沢沿いは樹木にとっては少し生きにくい場所です。
なぜなら、水量の変化によって土壌が流されたり、植物体が傷つけられたりすることが多い非常に不安定な場所だからです。
それでもフサザクラは沢沿いで生きられるし、生きています。どうしてでしょうか。
フサザクラの特徴としては成長が早いこと、根元から新しい芽を出す力(萌芽力)が強いことが挙げられます。
樹木の形としては、次々根元から新しい芽が伸びるため、メインの幹がはっきりしない株立ちになることが多いです。
崩れやすい沢沿いや急斜面では、植物体の一部が失われることも多いですが、フサザクラは一部残った根から新しい芽を次々出すことによってその環境に適応しています。
ただ、日陰には弱く、背もあまり高くならないという弱点もあります。
一方で例えば白神山地などで有名なブナ(写真は伊豆の写真ですけど)。
ブナは沢沿いでは生きていけません。
ブナはフサザクラと比べて成長が遅く、樹木の形も最終的には背が高く幹も太く1本のしっかりとした幹になることが多いです。
その為、頻繁に土壌が流されていく環境では姿勢を維持し続けることが難しく、生きてはいけないのです。一方である程度の日陰には耐えられます。
そんなブナが好む環境は、傾斜が緩く土壌も厚く、安定した環境です。
安定した環境下ではそこで育ちたい種も多く競争も激しいのですが、ブナのじわじわ育って背を高くする戦略は日光を独占的に得る上では有利になるんですね。