自動運転の法整備
三度目のごあいさつ
こんにちは。三度目の投稿となります、chibaです。今回は前回の自分担当回で話題にした自動運転の法整備について昨今のニュースを交えて語りたいと思います。
世の中を変えたければ
昨今、自動運転とそれに向けた法整備に関わるニュースのうち最も大きかったのは、Googleがフォード,Volvo,LyftとUber(米国のカーシェアリング企業)と組んで自動運転の法整備に向けたロビー団体を結成したことでしょうか。
Google, Ford, and Uber just created a giant lobbying group for self-driving cars | The Verge
Googleは自動運転に対して最も積極的な企業のひとつですが、いよいよ法整備への働きかけも本格化した模様です(もっともGoogleのこうした動きは別に自動運転に限ったわけでもないようで、Googleのロビー活動費はここ数年でどんどん膨れ上がっているとの報道もありますが)。
組んだ相手が自動車メーカーとカーシェアリング大手というのも面白いところです。"自動運転が現実化した暁には、自動車がアプリひとつでシェアされる時代が来る"とはよく言われる未来予想図ですが、彼らはそれに向けた枠組みを自分たち主導で作るつもりのようです。
新しい目
日本でも見た目には小さな、しかし重要なニュースがありました。
「今まで自動車に取り付けを義務付けられていた後写鏡(バックミラーやドアミラーのことです)について、カメラとモニターでの代用を認める」というものです。
ミラーレス車、実用化もうすぐ カメラとモニターで代用:朝日新聞デジタル
ある程度以上の性能が条件となりますが、この改正によって自動運転の目となる車載カメラの搭載はより進むことになります。今後の自動運転に不可欠な要素である「機械学習」を行うにあたって必要な大量のデータも、この目を通して今までより多く提供されることになるでしょう。
しかしこれもまた、プライバシー権の侵害、さらに発展して自動運転を制御するコンピュータそのものをハッキングされる可能性など、多々問題を秘めているトピックでもあります。
大量の検討項目
また、日本損害保険協会より「自動運転の法的課題について」のレポートも公開されました。
日本損害保険協会 - SONPO | お知らせ − ニュースリリース
内容をすごく乱暴にまとめると、
「人間が操作に関わっている状況ならば、事故があっても現行法で適用可能。だが、完全に操作を機械に委ねた場合、責任の所在については今後の動向を見て検討する必要がある」
とのことです。正直、そんなこといわれても……な感がありますが、レポートを流し見して「検討すべき条文」の多さが目に入るとそれもむべなるかな、と納得させられてしまいます。
「自動運転元年」はいつになるのか
ということで、未だ自動運転の法整備は途上にあり、しかも改正を検討しなければならない法律は一つや二つではありません。またそれらは自動運転だけでなく、今後の人工知能やIoTの展開とも密接に関わってきます。問題を構成する要素が多すぎて眩暈がしそうです。
ゆえに、個人的な意見ですが、法整備は自動運転(特に完全自動運転)の実現における最大の障壁となるのではないかと思っています。
なによりまずは人々に「自動運転」に対する正しい認識を示し、きちんとその内実を知ってもらうことが肝要となってきますが、その啓蒙にどれだけ時間がかかるでしょうか。
巷では「2020年には自動運転が実用化されます」みたいな話が流れています(私も前回のブログで書きました)が、そこまで急に人々や社会が自動運転を許容するかは未知数です。
もっと長い目で経過を見守る必要もあるかもな、と最近は慎重派に寄ってきている自分がいます。