iPX社員によるブログ

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FCVに乗って晴海埠頭に行く

FCVバスに乗ろうと思う

こんにちは、お久しぶりです、chibaです。
自動運転を達成した電気自動車が縦横に走り回る都市を目指して企業がいろんな研究開発を行っている昨今、弊社もその未来についていろんな方々とお話等させていただいたりしているわけですが、実際のところ純粋なBEV,FCVに乗る機会は公私ともに意外とまだ少ないのではないでしょうか。
かくいう私もその一人でして、これは一回乗ってみなくてはと調べたところ、すでに東京都営バス(「都バス」と略して呼ばれます)でいくつかの導入事例があるということで乗ってみました。


下の写真がそのFCVバスこと「SORA」です。
一見して緑基調の普通の都バス車両とは違うデザインを施されているのでかなり目立ちます。
現在数台~数十台規模で導入を進めているとのことですが、その中でも最初期に導入された路線区間系統「都05-1」系統(東京駅丸の内南口-晴海客船ターミナル)に乗ってみます。

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FCVバス「SORA」 今は結構いろんなところで乗れるらしい

仰々しく書きましたが乗り込むのに特別な手続きはありません。料金割り増しもなく、特別な座席もありません。車内の雰囲気は普通の都バスと比べ白と青基調でやや柔らかい印象ですが、そこまで様変わりするわけでもありません。このSORAはもともと都バスとして使われていた車種を土台にしてFCVとして製造されたものなので、それも当然ではあります。

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「SORA」の車内 中央のLED表示が特徴的

が、実際に発車してみるとやはり走り出しに圧倒的なスムーズさがあります。出力としてはもとの車種のディーゼルエンジンと出力の大きさそのものはそこまで大差ないはずなのですが、そこはやはりエンジンとモーターの差というところでしょうか。 特にストップエンドゴーの非常に多い都バスという乗り物において、間違いなくこれは利点と思われます。そして普段乗っているときに特に(停止時に)いつも感じるエンジン音や揺れもなく、静か。やや高めのモーターの作動音が聞こえるのみです。

晴海ふ頭とその過去現在未来

私がよく使う都バス路線も早くこれにならんかなあとぼんやり考えつつ、ほんの20分くらいでバスは終点晴海ふ頭ターミナルに到着しました。終点まで乗っていたのは私一人で、バス停で帰りのバスを待っている人も2人しかいませんでした。閑散としています。
後で調べたところ晴海ふ頭ターミナルには現在のところ船は来ないようなので、これもまた当然ではあります。そもそも私もここに用事があったわけではないのです。トイレを借りて自販機で飲み物を買いました。

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晴海ふ頭ターミナルビル 80年代後半から90年代前半にかけて流行したポストモダン建築の代表的作品だそうです 東京臨海では近い印象の建物をちょくちょく見かけます

しかしせっかく来たのにとんぼ返りももったいないと考え、周辺を少し回ってみることにします。
周辺には特に何もない……ということはありませんでした。建設がほぼ終わったと見える新築高層マンションが何層もそびえていました。この辺一帯は来る東京五輪の選手村になる予定なのです。延期されてしまったせいか人の気配はほとんどしませんが、しかし来る選手たちを彼らは寡黙に待ち続けていました。

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選手村予定地 奥に見えるガラス張りの建物はビレッジプラザといい、カフェやメディアセンターがここに入る予定

そしてアヴァンギャルドな印象を持つターミナルからはレインボーブリッジをはじめとするお台場の建築物群が一望できます。
思えばこのレインボーブリッジも、その中を走るゆりかもめも、お台場一帯の施設は過去に中止されてしまったとある巨大な国際イベントを目途に作られたものでした。もっと言えばこの晴海一帯も実に80年前に行われるはずだった東京万博の会場として整備された歴史があり、東京ビッグサイトの前身である東京国際見本市会場も以前はここにあったわけで、なんというか国際的イベントに縁があるようなないような、不思議な場所に思えてきます。
それこそ戦前からずっと、ここは国際的イベントとそれに伴う再開発と都市計画のモデルケースとしてあった地域なのですね。

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客船ターミナルビルからレインボーブリッジが一望できる 夜景は素敵そう

なんだかFCVとそれが縦横無尽に走り回る未来を垣間見るために行ったはずが、過ぎ去った幻を夢想するようなことになってしまいどうにも申し訳ないのですが、しかし未来はそれでも続くわけで、しばらくこのあたりの発展を見守ろうと思いつつ晴海を後にしたのでした。

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晴海に向かう際に通った勝鬨橋 東京万博に向けて作られた、この一帯では数少ない戦前の建築