iPX社員によるブログ

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de:code 2019 に参加して

こんにちは、 iPX のコクブンです。
毎年この時期に開催されている de:code に今年も参加してきましたので、簡単ではありますが感想を書かせていただきます。

de:code とは

de:code は 2014 年に初開催され、以降毎年 5 月の後半に開催されている、Microsoft (日本マイクロソフト)主催の技術者向けイベントです。
主に、直前に米国にて開催されている Microsoft Build で発表された内容を日本向けにブラッシュアップする形で、 Microsoft が提供する「今すぐ使える技術」と「未来を創造するための技術」が惜しみなく発表されるテクニカルカンファレンスとなります。
2 日間の開催期間中には、基調講演に加えて 150 を超える*1ブレイクアウトセッションが行われ、非常に活気あふれたカンファレンスでした。
なお、基調講演については既にビデオが公開されています。基調講演の内容は、 de:code 2019 全体を俯瞰するものですので、是非基調講演のビデオをご覧になってその雰囲気をつかんでいただければと思います。

また、基調講演以外のブレイクアウトセッションの内容や資料については、例年であれば 一部非公開のものを除き後日一般公開されます*2

それでは、基調講演とブレイクアウトセッションから、私が参加しました一部についてではありますが簡単に内容をご紹介したいと思います。

基調講演

今年の基調講演では、主に Office 関連 、 Azure 関連、Mixed Reality 関連 の 3 つの分野に関する最新情報が語られました。

まず Office 関連については、 Microsoft Corporation の Corporate Vice President (Microsoft 365) である Jared Spataro 氏より、 Microsoft Graph の活用による生産性の向上への貢献に係るデモンストレーションが展開されました。
また、開発者視点での向上策の一環として、新たな Windows アプリケーションプラットフォームの選択肢として React Native for Windows が追加されることや、 Windows 環境と Linux 環境をシームレスに連携することに寄与するであろう WSL2 (Windows Subsystem for Linux 2) 、またそうした環境を操作するための新たなターミナル (Windows Terminal) の発表などもありました。
個人的には、特に Windows Terminal には非常に期待しております。
今まで Windows でターミナル的な作業をする場合は、どうしても 3rd party 製のアプリケーションを導入する必要がありましたが、 Windows Terminal があればその手間もなくなりそうです。

Azure 関連については、同じく Coropate Vice President (Azure) である Julia White 氏より、 Microsoft Azure に関係する多くのアップデートの話が展開されました。
残念ながら私が Azure に触れる機会があまり多くないこともあって、アップデート内容の多くを消化できていないのですが、基調講演のビデオを観直してしっかり復習しておきたいです。

そして、基調講演の最後の 20 分間でひときわ大きい拍手喝采を浴びながら登場したのは、 Microsoft Corporation Technical Fellow である Alex Kipman 氏。
Alex 氏からは Microsoft の Mixed Reality への最新の取り組みとして、 HoloLens 2 に関する最新情報が展開されました。
今年 2 月に初公開された HoloLens 2 ですが、公式としてはこの場が日本での初登場であり、会場の盛り上がりもかなりのものがありました。
講演では、 HoloLens 2 の機能に関する情報提供に留まらず HoloLens 2 の実機を使用した非常に未来感のあるいくつものデモが繰り広げられました。
特に、最後に行われたホログラムな Alex 氏による日本語スピーチ*3のデモは、まさに未来のデバイスという感じがしてすごくワクワクしました。*4

参加したセッションから

AI05 Deep Learning は実用段階に。 PoC を乗り越えてビジネスで使われるためのノウハウを、 AI 搭載自動ごみ処理クレーンなどの事例を中心に紹介

弊社でも各企業様から深層学習を使用したソリューション展開の PoC 案件のお話しをいただくことが多いのですが、やはり PoC の先の運用への適用という段に於いて様々な障壁(これは内外要因ありますが)によって断念されたり先送りされたりするケースが間々見られます。
一方で、弊社としても自信をもって運用への適用を後押しするというのはなかなか難しい面もあり、この辺りの知見の必要性を常々感じております。
その様なところを期待して参加した本セッションですが、残念ながら私が想像していた内容とは若干のずれがあったものの、改めて、ソリューション展開全体を通してどういったことに注力し、またその過程で発生する課題に対してどう対処していくのが良いのか、といったことを再確認出来たので非常に有意義なものとなりました。

CM09 Windows 10 対応のデスクトップアプリを作る技術

元々私はデスクトップアプリ系の技術を多く担当していたのですが、ここ最近では弊社のメイン事業が機械学習をベースとしたものにシフトしていることもあり、あまり業務でデスクトップアプリの開発に触れることがありませんでした。
その為、だいぶ知識が停滞してしまっていることもあって、最近のデスクトップアプリのトレンドを知っておこうと思い本セッションを受講することにしました。
セッションの中で触れられていたこととして、現在の Windows 10 デスクトップアプリのトレンド(主戦)はやはり UWP (Universal Windows Platform) であり、最新機能も UWP から実装されていくということで、特に制約がない場合は UWP で作成するのが良いのだろうということの様です。
一方で、(弊社もそうなのですが) WPF 等の従来の .NET Framework を利用したデスクトップアプリの資産を今後どうメンテナンスしていくのが良いのか、という点については、 UWP での再構築以外にも .NET Core への移行を検討する方法がある様です。
今回のセッションでは「移行」についての細かな話はありませんでしたが、セッション中のデモで使用されていた WPF アプリは .NET Core 製で、 XAML Island の機能を使用することで .NET Framework 版と遜色のない開発が行える様を見る事が出来ましたし、また実際に移行を試された方の blog 記事等によると、それほど労力をかけることなく移行も出来る様ですので、 WPF on .NET Core への移行は検討に値する域に達してきているのかなと感じました。*5

CM01 ここまで進化した! HoloLens 2 の全貌を徹底解説

今年の MWC (Mobile World Congress) 2019 で発表された HoloLens 2 ですが、基調講演の段でも記した通り、日本国内としては今回の de:code 2019 が正式な初お披露目の場となりました。
私は元々 HoloLens が米国で発表になった当初からこの非常に興味があって、 HoloLens が国内で販売されたときに購入して色々触ってみていた*6のですが、 HoloLen 2 は初代 HoloLens と比べて視野角も操作性も格段に良くなっているとのことで、今から発売が待ち遠しくて仕方がありません*7
今回の de:code 2019 の会場では、人数限定で HoloLens 2 の実機体験が行えたのですが、残念ながら私は当選しなかったので、せめてセッションを聴いてそのポテンシャルを想像し、また来る実機に向けて準備をしたいと考え、本セッションを受講してみました。
セッションでは、 HoloLens によるこれまでの取り組みと HoloLens 2 のハードウェアとしての進化について、細かく解説していただきました。
色々と気になることはありましたが、特に HoloLens 2 の進化で強く感じたのは、やはり操作感の変化ですね。
HoloLens ではわずかなジェスチャ (Bloom / Air Tap / Gaze) のみしかサポートされていなかったものが、 HoloLens 2 では 10 本の指をそれぞれ認識してオブジェクトに触れたりつかんだりが自在にできる。 Gaze も HoloLens ではヘッド(本体)の傾きでシミュレートしていたものから、 HoloLens 2 では視線トラッキングが出来る様になる(本来の Gaze を実現)。文字で書くとたったこれだけの変化ですが、この変化がユーザー(開発者・利用者双方)にもたらす変革というのは計り知れないものがあると想像されます。
言うなれば、 HoloLens が単に「ホログラムを眺める」ものであったのに対し、 HoloLens 2 では真の意味で「ホログラムが現実世界に入り込んでくる」ことになるのではないか。
そんな気がしています。

*1:ハンズオントレーニングや Expo 会場内の Open Theater スペースで開催されたミニセッションを含めての数です。

*2:現時点で参加者には期間限定公開されているものの、一般公開のアナウンスが見つけられていないため、断定は出来ないのですが。。。

*3:注: Alex 氏本人は日本語が全く話せませんが、 Azure の Cognitive Service を駆使してまるで Alex 氏自身が日本語を話しているかの様に見せていました。

*4:あの感覚は、氏の TED でのプレゼンテーションを初めて観た時の感覚に近いものがありました。この辺りのデモンストレーションの魅せ方は、さすが Alex 氏だと思います。

*5:但し、現時点で WPF on .NET Core は正式版となっていないため、運用中のアプリの移行を検討している場合は注意が必要です。

*6:ここ最近は色々と忙しくてあまり触れていませんが。

*7:どうやら実際に販売開始されるのは秋以降の様ですが。