自社キャラクターをリミックスする件
iPX 2Dデザイン部 かのまたです。
今回は、題材を除いて真面目な話となっております。
iPXのキャラクター
1年ほど前に、社長より「iPXのキャラクターを作成せよ」とのお題を命ぜられた方がおりました。
企業が発信するキャラクタライズは日本の古今東西で実施されているものですが、うまくいったものは限定的であったと感じています。
昨今では、キャラの露出度が高いために住民から反対されたものがあったり、スカートなのに下着が透けている構図となってしまったがために批判を受けたりと、なかなかいいところがありません。
命ぜられたM氏は、四苦八苦の末にキャラを完成させました。
私は0から行うデザインセンスが皆無なので、甚く感銘を受けたことを覚えています。
自社キャラクターは世に言う「擬人化」とは違うかもしれませんが、源流を同じくすればそれなりです。
特徴量をどこに置くか、どこに配置するか...等、考えることは沢山あったのだろうと思います。
自社で製品を持っていればそこに重きを置けばよいのですが、そうもいきません。
iPXがどのように擬人化されるのか全く予想もつかなかったのですが、あやふやなものをここまで形にしてくるのは素晴らしいと感じました。
私の作品ではないので、ここに置けないのが残念ですが...
リミックスした結果
私の持つ技術など所詮一人芝居です。
もっと良い技術を持つ人など世の中には数えきれないほどいることを知っている必要があります。
よく大学で「自分よりできる人間など掃いて捨ているほどいることを知っている必要がある」ような旨を言われました。
たとえ数学のような分野であっても、八百屋のおばちゃん相手でさえ油断しないことだと教えられました。
しかし、最高のものを作るという使命感は、いつも忘れることはできません。
せっかくのアイディアをしまっておくのも勿体ない話です。
アレンジして、無い部分は想像して付け足して、勝手にいろいろしてしまいましょう。
まあ、恥ずかしながら、こんな結果になりました。
RQな感じだったので勝手に傘を持たせていますが、木刀とかでも良かったかも知れません。
私が描くとどうしても中性的な方向に向かうのか、2D感が薄くなります。
実際、見た方々は「3Dモデリングは大変だっただろう」とおっしゃっています。
いいことでもあり悪いことでもあります。
バストアップだとこんな感じです。
正面である場合に、普通削減方向になるはずの鼻を描くのは私の中の正義です。
ある絵師のこのような正面画が好みだったためです。
ソフト
Sai 1.2.0-Beta6 (ライセンスは個人購入している)
ソフトはいろいろ言われますが、初期からお世話になっているソフトが一番です。
「筆」と「ぼかし」の質が好みです。
良く学ばない私にはPhotoshopの塗りはできませんでした。
どのソフトでもすごい人はすごいのですよ。
ハード
Wacom Intuos4
6年ぐらい使用していている愛用品です。
当時の財力ではなかなか高かったと思います。(24,000円ぐらい?)
ポインティングできる領域に白いシールを貼ることで、滑りが少ない好みのペン先の感触にしています。
なかなかオススメです。
大きさ
A4印刷でも余裕で耐えられる 3500pixel × 6500pixel
ここでは縮小しているものを貼っていますが実際は大きいです。
小さく作って後に大きくすることはできないが、大きく作って小さくすることはできるのです。
拡大の工学的手法は数多ありますが、やっぱり補間に他なりませんし、ノイズ少な目なイラストレベルでは拡大の補間はノイズです。
塗り
レイヤをたくさん使う類の「なんちゃって厚塗り」
基本的には「自分の持っているロジック」に従って色を入れていくことの繰り返しなんですよね。
これについては、今度ネタとすることがあるかも知れません。
ディスプレイの色調調整
MACを使用する場合にはいらないかもしれません。
i1 Displayという機材とi1 Profilerというソフトを使用しています。
簡単に色調を自動補正してくれます。
特に複数画面使用していると1画面1画面の色合いが違っていることが普通ですが、これを一律に調整できます。
作ったイラストにプロファイルを乗っければ、他のディスプレイで画像とディスプレイ間の色調補正が行われます。(表示ソフトに由来するが)
ただし、ディスプレイと人間の目の間の補正は、イラストを見ているディスプレイを補正する必要があります。
根性の有無
何をやるにしても、なかなか自宅でダラダラして行動するに至れないのが現状です。
ちょっと塗っては長い休憩をとり...1日で大してできていないということの繰り返しです。
それを考えると、1日に何時間も集中して作業できる職業絵師はすごいなと思います。
自社でよいものを作るということ
イノベーションが叫ばれます。
イノベーションとは、個人がこれを達成するには厳しく、企業が戦略的に起こせるほど簡単ではないと思っています。
利害を一としている組織において何故か起こらないものが、利害を異にする社会で起こることがしばしばあります。
それは「同人」の業界です。
あるポッと出のキャラクターがその後に繰り返される同人の味付けによって深化を続け、やがて誰もが知っているキャラクターに変わるということが利害もないのに行われる不思議な活動です。
ナレッジマネジメント
言うは易いが、企業でこのような活動を起こすことはできるのでしょうか。
ここに1つのヒントがあります。
何年も前に提唱されたナレッジマネジメントというものがあります。
知識の蓄積、共有、向上を目的とし、知識が検索されることや人to人が繋がりを持つことなどから、新たな考え方が生まれることを期待できます。
- 「考えている」をドキュメントなどの「形」にすること
- 「形」が他の人に見えるところに置いてあること
- 検索可能なこと
- 見出しで内容がほぼ分かるなど、難しくないこと
- 企業に新しいことをする文化があること
結局必要なものは明示化、データベース、文化です。
iPXの、その非常に小さな第一歩目がM氏のキャラクタライズであり、第二歩目が私のリミックスであると考えます。