iPX社員によるブログ

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視覚のオハナシ第三弾″やっぱり脳はかしこい″

iPX oteraです。

本日の前置き。

最近、弊社ではデータ取得車両を購入しました。
車外の状況を様々なカメラやレーダーで計測してデータを取得することができます。
また、車外のデータのみならず、ドライバーのデータも取得するということで、
モーションキャプチャスーツ″というものも併せて購入しました。

モーションキャプチャとは、人間の関節などの特異点となる部位に対してセンサーを取り付け、
対象の動きを3Dモデルに反映させる技術です。
この技術はスポーツや医療、CGなどの分野でよく使われています。


※キャプチャの方式についてはいくつか種類があるようです。
ja.wikipedia.org



モーションキャプチャスーツは、映画「シン・ゴジラ」で
狂言師野村萬斎さんがゴジラを演じる際にも使われましたし、
最近ではVtuber(バーチャル・ユーチューバーの略)が使っていることでも話題ですね。

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狂言師野村萬斎さん(モーションキャプチャ着用中)
(公式Twitterより)ゴジラ (@godzilla_jp) | Twitter




このスーツ、たくさんの種類があって安価な物だと数万円、
高性能なものだとウン百万以上するものもあります。

興味がある方は購入してみてはいかがでしょうか?




さて本日の本題に。

視覚について第3弾

やっぱり脳はかしこい

前置きで紹介したモーションキャプチャですが、
実際に得られるデータは基本的には″点″の集まりです。
客観的に見れば複数の点が動いているだけなのに、
私たちはその集まりを″ヒトの動き″として認識することができます。
それはいったいなぜなのか。
今回はそのことについてご紹介します。

※今回は書籍『知覚と感性の心理学』の内容をもとに執筆しています。




さて、突然ですが問題です!




以下の画像に何かが隠れています!何が隠れているかわかりますか?




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(シンキングタイム)






・・・・・・。






はい。終了です!

正解は以下の画像の通り、「人間」でした!





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・・・・・・。





分かるわけないですよね(笑)

ですが、以下のようにすると一瞬で分かってしまいます。





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Copyright (c) George Mather, 2019.

※今回は以下のURLにあるgifファイルを使用させていただきました。
 他にもおもしろいgifがあるので、興味が沸いた方は是非ご覧ください。
George Mather's Home Page


バイオロジカル・モーション

今回のような静止している点の集まりでは何の集まりか判断できなくても、
それらが動いたとたんに対象の複雑な動きがわかる現象のひとつとして、
「バイオロジカル・モーション」があります。

これは、私たちの脳が時間軸の中で点の関係性を見出し、
頭、肩、手、腰、足といった要素を無意識のうちに抽出して
補完しているからだと考えられています。

共通運命(ゲシュタルトの法則)

また、もう一つの要因として「共通運命」の法則があります。
今回のgifですと、人としての点とそれ以外の点が存在していて、
人の点のみが動いているとき、人以外の点が動いているとき、
あるいはその両方が動いているときがあります。
このとき、私たちの脳内では多くの点がある中で
「人間のまとまり」と「それ以外のまとまり」を
知覚し、落ち着きを生み出しているのです。

今回のテキストの中に「同じ時に同じ方向へ同じ速度で移動する対象を、
運命を共通にするものと考え、同時に移動する形態が異なっていても、
距離が離れていても、成り立つ」とあります。

ちょっとややこしい言い方ですが、簡単にまとめると
私たちは動きに敏感であり、特にまとまりをもって動くものに
意識が向かうということなのです。

まとめ

今回ご紹介したバイオロジカル・モーションや共通運命の法則というのは、
『視覚のオハナシ第二弾″脳だって落ち着きがほしい″』でご紹介した、
視覚による脳の大きな働き3つ

・複雑な状況や可能性を排除!構造は簡単に!
・常に単純化を行う!処理しやすい!
・纏まりを生み出して落ち着きを!

を動いている対象にも当てはめていると言うことができますね。
やっぱり脳はかしこいです。

最近、世間では「人工知能」というワードが飛び交っていますが、
人工じゃない知能、「自然知能」もまだまだ解明されていないことはたくさんあります。
また、当然ですが自然知能は人工知能とは違い、1人に1つ必ず持っていて、
自分の知能は自由に扱うことができます。

人工知能に仕事が奪われるなんてことも言われている中で、
私たちは「人間らしく生きる」ことについて
再度考え直す時期が来ているのかなと私は思います。

なので、自分は一体何物なのか、
何のためにヒトは高い知能を持っているのか、
そもそも私たちは何を目的に生きているのか。
そういった答えのないことをたまに考えてみて
自分自身の自然知能と向き合ってみるのも良いかもしれません。

ちょっと話が逸れてしまいましたが、
これにて”視覚のオハナシ”シリーズは終了となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。