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科捜研って何やってるの?

こんにちは。

久保です。

記事の投稿は2回目となります。今回は私が以前勤務しておりました科学捜査研究所(科捜研)がどのような仕事をしているかについて書きたいと思います。

科捜研といえばドラマや漫画などで取り上げられることが多いので名前を聞いたことがある人は多いかと思います。実際の業務内容はそれほど派手なものではなく一つ一つ丁寧に間違いのない作業をすることが求められています。

  • 科捜研の分野

科捜研には大きく分けて5つの分野があります。法医、化学、物理、心理、文書の各分野に分かれて業務を行っています。

一人ですべての範囲を網羅するのではなく分業体制で鑑定をしています。

それでは、それぞれの分野についてどのようなことをしているのか簡単に説明したいと思います。

1. 法医

法医は主にDNA鑑定を行う分野になります。DNAは体の設計図のようなもので例外はありますが、一人一人DNAの構造は異なっています。そのため、DNAの構造から個人を特定することができます。

あまり知られていませんが、DNAのうちで遺伝情報が含まれている部分は全体の2%にも満たない割合しかありません。DNA鑑定では遺伝情報が含まれていない部分を使用してDNA型の判別をしています。なので、個人情報などは問題ないといわれています。

2. 化学

化学は薬物や毒劇物覚醒剤などの鑑定をしています。ヒトの血液や毛髪に薬物などが含まれていないかをいろいろな分析機器を使用して鑑定を行います。

また、油など火災に関する鑑定も一部は化学で行っています。

3. 物理

物理では火災や交通事故にかかわる鑑定を行っています。

日本ではほとんどありませんが、拳銃の鑑定も物理で行われています。

4. 心理

ポリグラフを用いた検査を行うのが心理です。

ポリグラフは取り調べの過程で被疑者が嘘をついていないかどうかを鑑定するために使用します。

5. 文書

文書では筆跡の鑑定を行っています。

  • 現場への出動はある?

科捜研は研究所と現場を行き来しているというイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実際はほとんど研究所で鑑定をしている時間がほとんどです。鑑定の内容もルーチン化されているものが多く日々の業務をこなすということが多いです。

しかし、そんな中でも頻度は多くありませんが、現場に行くことはあります。どのような場合に現場に行くかというと科捜研研究員が持っている専門的な知識が現場で必要になった時です。

また、特殊なケースの犯罪捜査に関わる場合にはルーチンワークではなく鑑定人の技術力が試される鑑定を行うことになります。

  • 科学捜査技術の開発研究

科捜研の業務は鑑定がメインですがそれだけではありません。新しい技術を鑑定にとりいれるための研究も行っています。

犯罪捜査では間違いが許されないため精度の高い鑑定技術が求められています。そのような期待に応えるためにも研究は非常に重要な業務となります。研究した成果は学会で発表したり、論文を書くなどして形にします。

  • 他部署との連携

科捜研は鑑定対象である血液や毛髪などを受け取って鑑定を始めます。この鑑定対象は犯罪の現場から鑑識課の方々に採取してきてもらいます。なので鑑識課との連携は非常に重要となっています。時には採取の方法などを専門的な見地から採取方法をレクチャーすることなどもあります。

しかし、連携が重要であるからといって仲良くなればいいわけではありません。鑑定人はあくまで鑑定結果という事実のみを報告する必要があります。それぞれの部署の役割分担をしっかりと理解し、メリハリをつけた付き合いをしなければなりません。

  • おわりに

以上いかがでしたでしょうか。

科捜研について簡単に説明させていただきました。この記事を読んでいただいて皆さんが科捜研についてのドラマや漫画をおもしろく見れるようになってくだされば幸いです。